ESGは終わった?(後半)

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2.ESGは終わった

個人的にはそうは思いません。記事では政治や利権にまみれた「ESG」という言葉自体は消滅し、当たり前の前提となる。いずれは「インパクト投資」と呼ばれるようになるだろう、と説明されています。ESGという言葉が産まれて25年ほど経ちますが、ここ10年くらいの空前のESGブームを経て、今は「反ESG」の流れがあることは理解しています。ただ、そこまで単純に説明できるものではないと考えます。
 
そもそもESGとは、企業分析をする際に投資家が使うスクリーニング項目のこと。日本企業の決算説明資料で「E・S・G」それぞれの取組みをプレゼン資料で紹介していますが、投資家のスクリーニング項目であるESGを発行体側が定義するのは、少々おかしく感じられます。むしろ上場企業は社会課題をどのように解決していくのかをSDGsの目標になぞらえて説明するほうがしっくりきます。つまり、発行体が社会課題をどのように解決していくのかの「プロセス」を示すのがSDGs、その状態に達するまでの「手段・手法」がESGです。
私は定期的にグローバルのESG関係者にインタビューしています。その取材を通して分ったことは「ESGは今後も無くなることはないし、今も進化の途中にある。だからESGにこれが正解というものはなく、何がベストプラクティスになり得るのか、各業界で試行錯誤しながら真剣に考え始めている。」という意見でした。欧米でのグリーンウォッシュ(ESGファンドの疑義)、バリューウォッシュ(企業開示の疑義)を経て、ESGが本来の機能を取り戻すためにはどうしたらよいのかを、当局、取引所、投資家、上場企業、アカデミアで議論して行く局面に来ています。
 
そもそもの話ですが、ESGの本来の機能とは何か?と聞かれたら、私は「社会課題を解決する事業や企業にグローバルのお金の流れを向けること。」と答えます。その実現のために、ESGという評価項目が必要になるのです。したがってESGというテーマをまるごと「終わった」と言い切るのは、ESG業界の現状には即していないのかもしれません。
 

3. IR担当者は日本語に対応する英語の情報で「裏取り」を。

グローバルな投資家と対峙する経営陣やIR担当者にお薦めしたいことがあります。日本語の報道だけでなく、英語の情報で裏を取ることです。3.11の時の原発事故の報道にしても、Chat GPTの情報にしても英語の情報のほうが圧倒的に早く、豊富です。残念ながらグローバルな世の中において、日本語の情報は相対的に「少ない」のです。カバレッジが小さいものだけを見て物事を判断するのではなく、裏を取りに行く気持ちで英語の記事や説明に照らすことが実は重要です。この積み重ねで投資家の議論がズレることを防げると思うのです。
ただ、膨大な英語資料を読むのは大変ですので、そんな時はChat GPT、DeepLやGoogle翻訳を活用できるのではないでしょうか。やりようはいくらでもあるので、英語での「裏取り」をぜひお薦めしたいです。(大石)
 
 
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